立体的に物語を楽しめる「ミセス・ノイズィ」がよすぎた。。。


コロナの影響でオンライン試写会が気になっていた頃。Filmarksさんで『ミセス・ノイズィ』のオンライン試写会があると知ったのが最初に気になったきっかけ。中の人にちょっとお話を伺ったらすでに評判がいいって教えてもらって、そこからなんとなく注目していたのだけど、公開日が延期されたりで少し時間が空いてしまってたのよね。

そして公開されたのが12月4日。超大好きなデザイナーのTAKAKOさんが役者時代の仲間が出演してるからと、紹介してくれたのがミセス・ノイズィとの再会でした。監督と脚本は天野千尋さん。TAKAKOさんも秀逸と大絶賛していたのでこれは行かねば……! とさっそく映画館に行ってきたのです。

誰の心にも共感できる現代らしい人間関係

ちょっと話すとネタバレしてしまいそうなので、全部我慢するけど、本当に噂通りめちゃくちゃよかった……。

2005年におこった奈良騒音傷害事件がモチーフになっているミセス・ノイズィ(それにしてももうそんな前なのね)。と言っても事件を映画化しているわけではなくて、とても今の世の中っぽい社会の隙間だったり、小さな闇が重なっているフィクションでした。後半に一気にドンデン返し! というお話も多いし、それによってハッと真実が繋がる快感は確かに気持ちいいんだけど、ミセス・ノイズィはそうじゃなくて物語を立体的に見せてくれることでうまくつながり合えない今っぽい社会や人間関係を見せてくれるみたいだった。私も登場する誰かなんだなー。

篠原ゆき子さん演じるのはキャリアに焦りを感じている作家の吉岡真紀。そして大高洋子さんが力強く演じていた若田美和子。どちらの気持ちもわかるし、ふたつの家族のすれ違いがSNSを通じて社会問題になってしまうのがすごく怖かった……。

そして、個人的に考えさせられたのが真紀の従姉妹の多田直哉と、若手編集者の山田哲平。演じていたのは米本来輝さんと和田雅成さんです。今の時代はなんでも利用しないと売れない、という気持ちでどちらもちっとも悪気はないのに、ふとした考えやアクションが大きな止められない流れを生み出してしまうのがとても怖かった。本質を見ることの大切さや、簡単に人の人生に関わってしまうことを改めて感じさせられたのでした。

ちょっと違うのだけど、先日うっかり入院してしまった時に同室だった人に嫌だなーって思うことがあって……。すごく些細なことの積み重ねなんだけど、非常識なのでは? って思うことがあって友だちに愚痴ったりしていたんだけど、退院直前に彼女の病状についてうっかり聞こえてしまったんだよね。その時にすごくしんどいことも多かっただろうし、彼女にとってもっと大切に気持ちも時間も向けたいことがあるだけだったんだなとストンと納得できたん。あーあ、私って自分のことしか考えてなかったんじゃんって。自分も体調がよくないこともあったから余裕がなかったんだと思うけど、嫌だなと思ってしまったことをすごく後悔したんよね。そんなことがあったから、ミセス・ノイズィが早い段階で立体的に物語をみせてくれたのがとてもよかった。心がまだ凍ってるからか爆笑とか号泣はしなかったけど、とにかくとてもいい映画に出会えました。

自分の中の正義を大切にするのは当たり前。それがないとまっすぐに立てないし。でも、それは誰にとっても正しいことではないということを忘れてはいけないね。

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